夜眠れなくて、なんとなく体がだるいのだけど、原因がよく分からない身体症状がありませんか?
頭痛、腹痛、倦怠感といった自覚症状はあるけれど、病院で受診すると原因は勿論治療法も分からない、ましてや周囲の理解も得にくい、でも本当につらいのですよね。
そんな原因のつかめない症状が続く病、もしかしたら「仮面うつ病」かもしれません。今回はその仮面うつ病の原因や症状、対処法ついて詳しくご説明します。
「仮面うつ病」と「自律神経失調症」の違い
どちらも、自覚症状を訴えますが、原因が見つからず、また症状が安定しにくい(不定愁訴)という特徴をもっています。
仮面うつ病
軽度の典型的なうつ病です。身体症状を訴える為、精神症状が見え難くなる、いわゆる、他の症状の「仮面」を被ったうつ病の事を言います。
自律神経失調症
交感神経・副交感神経のバランスの乱れによって起こります。自立神経は交感神経・副交感神経に大別されており、生命に不可欠な機能に関係しています。これらの諸機能は自動的に調節しているのですが、これが乱れると、上記した不定愁訴の症状が表れるのです。
この2つは非常に酷似しており、見分けるのは不可能です。治療法は全く異なるので自己診断は禁物です。必ず専門医を受診して判断してもらいましょう。それでもなかなか良くならない時には、セカンドオピニオンをしてみるのもよいかもしれません。それほど判別が難しいのです。
参考:自立神経失調症の原因はストレス?症状例、投薬と病院は何科で受診?
仮面うつ病の原因
・精神エネルギーの低下からくるもの
・性格によるもの
「内因性うつ病」である仮面うつ病は、遺伝・体質・性格などの内因的要因から発症します。性格的には「几帳面」「他者への配慮が強い」「責任感が強い」といった傾向が挙げられます。うつを発症する性格の1つであるこのような性格を『メランコリー親和型』といいます。
この性格は、自分に対して厳しく、その為、落ち込んだり、集中できないなどの精神症状が出ると、弱さを晒すことが耐えられず、このストレスが身体症状として表れてしまうのです。
仮面うつ病の症状
朝は辛いけど夜は楽で行動が活発になる、「日内変動」というのが起こります。また、その逆の症状あります。
・全身症状
・倦怠感・全身の疲労感を訴えます。疲れているからだと思い休養を取っても回復しません。
・不眠・睡眠障害が出ます。夜中の1~2時頃に覚醒して、その後眠ることができません。
・食欲不振が続きます。
・男性ではインポテンツ、女性では無月経が出たりします。
・部分症状
局所的にはっきり出てきます。
・吐き気を伴う胃痛や腹痛
・動悸や胸部不快
・胸痛・過呼吸・呼吸困難
・痛みを伴うものでは、頭痛・肩こり・腰痛など
・ため息
「ため息」は診断のバロメーターになります。無意識に、ため息を繰り返す事は、精神症状の一種の表れともみられます。
・不定愁訴
異なる臓器の症状を一度に訴える事があります。例えば「お腹が痛くて、動悸がして眼も見えない」などです。
これらはほんの一部です。数え上げたらきりがないでしょう。精神症状で出現するのですから、この病の人の数だけ、症状は様々にあるのです。
仮面うつ病の治療
1.休息
うつ病と同様、安静と休養です。精神的ストレスを取り除いてあげましょう。
2.投薬
抗うつ剤・抗不安剤・睡眠剤など、うつ病と同様の物を投薬しますが、身体症状に対する薬も、その場しのぎですが処方する場合もあります。その身体症状がストレスになっているのですからね。
3・精神療法
カウンセリングなどを行い、精神のもつれを解いていくのです。
治療にあたって大切なことは、「仮面うつ病」だという事を受け入れる事です。内科的病気だと思っていたのが精神的なものだと知ると、前述したメランコリー親和型性格の傾向からすると受け入れ難いかもしれません。しかし、受け入れることが苦痛から解放される第一歩です。
まとめ
身体症状が出たらまず内科を受診する事は勿論大切です。それでも解決しない時は「仮面うつ病」を疑ってみて下さい。「うつ病」という病気に偏見を持たず、「病気」という自覚を持って治療すれば、時間はかかるかもしれませんが、徐々に解消されていくはずです。
今まで何だか分からなかった病気に診断がつき、治療法もあるのですから、まずは専門の医療機関で診察を受けてみることから始めてみましょう。