皮膚に発疹や赤みなどかゆみが起きるような症状がないのに、とにかくチクチク・ムズムズかゆい、といった症状に悩んでいませんか?それはもしかしたら皮膚掻痒症(ひふそうようびょう)かもしれません。
人によってかゆい場所は違いますが、全身がかゆい人もいれば特定の場所が痒い人もいます。かゆい皮膚病はたくさんあるので、ここでは皮膚掻痒症の特徴から知り、原因や症状、対処法までを解説していきます。
Contents
皮膚掻痒症とは?
皮膚掻痒症の特徴は、目につくような皮膚疾患が無いのにもかかわらず、痒みだけの自覚症状がでます。
例えばアトピー性皮膚炎のようにカサカサしてないのに、とにかくかゆいのです。
皮膚掻痒症の症状
皮膚掻痒症の症状には、皮膚がチクチクかゆい、ムズムズするといった症状が出ます。かゆくて掻くと湿疹やただれが生じますが、掻く前は皮膚に異常はありません。
また、皮膚掻痒症は、かゆみが出る場所によって2種類あります。全身がかゆいものを「全身性掻痒症」といい、肛門・陰部がかゆいものを「局所性掻痒症」といいます。それぞれに原因があり、次の項目でご説明します。
皮膚掻痒症になる原因
全身性掻痒症
・ドライスキン(皮膚の乾燥)によるもの
皮膚が乾燥し、皮膚が本来持ち合わせている保湿機能が低下することにより外からの些細な刺激に過敏になり、かゆみが生じます。生活環境の変化(乾燥した地域への移住など)、エアコンの過剰な使用で湿度が下がると皮膚が乾燥します。
また、高温のお風呂につかる、石鹸やナイロンタオル、スポンジで体をごしごし洗うなどが原因です。皮膚を守るための必要な皮脂が落ちてしまい、ドライスキンになります。
60歳以上の高齢者に多い症状では、加齢によって皮脂の分泌が減少し、皮膚が乾燥することが原因です。
・内科的疾患によるもの
甲状腺疾患、糖尿病、貧血、肝疾患、悪性リンパ腫、白血病、妊娠、更年期、寄生虫、心因性のストレス、薬剤やサプリメント、アルコールなどが原因です。
局所性掻痒症
カンジダ症、トリコモナス症、前立腺肥大、尿道狭窄、蟯虫症、便秘、痔などが原因です。
皮膚掻痒症の薬・治療対策法
すべての皮膚掻痒症で、かゆくて掻くと湿疹化、ただれ、皮膚が厚く硬くなるなどの二次的な症状が出てきます。そうなるとステロイド外用薬などで炎症を抑えるといった治療が一般的です。また皮膚掻痒症は原因によって、治療法や対策が異なります。
全身性掻痒症
・ドライスキンが原因の対処法
皮膚科を受診すると保湿剤が処方されます。保湿剤の種類には主に、尿素軟膏、白色ワセリン、ウレパール(軟膏・ローション)があります。1日に2・3回外用し、肌の水分が失われないよう保護します。
また、並行して生活習慣の改善をします。入浴の温度は低めに、保湿剤入りの入浴剤の使用、ナイロンタオルなどでゴシゴシ洗わない、部屋の湿度を50%以上にする、下着は化繊ではなく木綿を選び、皮膚に刺激を与えないよう気を付けます。
・内科的疾患が原因の対処法
原因となる内科的疾患の治療が必要です。心因性のものには、精神安定剤、睡眠剤、抗うつ剤等を使用しますが、完全な治癒はしにくいとされています。
また内科的疾患の除去と並行して、ドライスキンと同じように外用薬の使用と生活習慣の改善で正常な皮膚を取り戻します。
局所性掻痒症
内科的疾患と同様、まずは原因となっている病気を診断し治療します。
まとめ
このように、皮膚掻痒症の原因は多様です。異常に気が付いたらはやめに皮膚科を受診し、適切な治療をしましょう。場所によって原因や治療法は違いますが、「かゆい」というのは共通です。
辛いですが、なるべく掻かないことです。なぜなら、掻くことによって二次的に湿疹などの症状が出てしまいます。かゆみは体を温めると増し、冷やすとかゆみを感じにくくなります。お風呂のあとはすぐに布団に入らないなど工夫をしましょう。