過食嘔吐は、摂食障害の一種です。摂食障害の中には、過食症と拒食症とがありますが、そのどちらも過食嘔吐を引き起こす可能性があります。
過食嘔吐しているのに、なぜか痩せるのではなくて太る傾向にある人がいます。と言うよりは、過食嘔吐になると痩せるより太ってしまう人のほうが多いのです。
なぜ過食嘔吐で太るのか?さらに、代表的な症状であるむくみ対策と、過食嘔吐を克服する方法についてもご紹介します。
Contents
過食嘔吐で太る原因とは?
そもそも過食嘔吐はどのような原因で起こるのでしょうか。
過食症の人は制御できないほどの食欲に襲われるため、短時間に大量の食事をしてしまいます。そして、その後の罪悪感や太ることへの恐怖から、自分で嘔吐してしまいます。
拒食症の人は飢餓状態になったときに過食に走ることがあります。そして、その後の罪悪感から嘔吐してしまうのです。それでは、過食嘔吐で太るのはなぜでしょうか?
食べた分は吐いているのに太るというのは不思議ですよね。それには次の3つの理由があるのです。
血糖値の急激な変動
一度食事を大量に食べるので、一気に血糖値が上がります。すると、体内ではインスリンが放出され、血糖値が下がります。普通ならば食べたものが消化されて、ちょうど良い血糖値になるのですが、吐いてしまうとインスリンが過剰の状態になってしまいます。
血糖値が下がると食欲がさらに旺盛になり、インスリンは脂肪を蓄えようとする働きが起こります。そのため、インスリン過剰状態が食欲を増すと同時に、太ることにもつながるのです。
体がエネルギーを蓄えようとする
過食嘔吐を繰り返すと、体はエネルギー不足に陥ります。そのようなとき、体は今後のためにエネルギーを蓄えようとします。つまり、脂肪を蓄えて太るのです。
精神的ストレス
過食嘔吐は自責の念や太ることへの恐怖から始まります。そのような心理的なストレスはさらなる過食につながります。食べれば太りやすい体になっているので、さらに太る…という悪循環。
以上のように、過食嘔吐を繰り返すと、痩せるどころか太るのです。
過食嘔吐の恐ろしい症状とは?
過食嘔吐の症状は太るだけではありません。順に見ていきましょう。
・食道炎
酸性の胃液を吐き出すため、慢性の食道炎になりがちです。
過食嘔吐を繰り返すと、食道と胃の間の弁が緩くなり、逆流性食道炎になってしまうことも。
・虫歯
常に吐いていると、あるいは逆流性食道炎になると、胃酸で歯の表面を覆うエナメル質が溶けてしまいます。
・月経不順
心理的なストレスも、体重の急激な増減も、女性ホルモンのバランスを狂わせます。
・むくみ
過食嘔吐によって、水分やミネラルまで排出してしまいます。その結果、血行が悪化、細胞間に水分が溜まり、むくみます。
・抑うつ状態
過食による自己嫌悪、心理的ストレスは、抑うつ状態やうつ病を引き起こすことも。また、妊婦さんは体重の増減によって次の2点にも注意が必要です。
※体重増加が激しい場合
難産、妊娠高血圧や妊娠中毒症のリスクを高めます。
※体重減少が激しい場合
子どもの出生体重も低くなり、子どもの低血糖を引き起こすかも。さらに、心理的なストレスは、早産のリスクを高めます。
過食嘔吐で特に気になる、むくみをとる方法とは?
体のむくみ、特に顔のむくみは気になりますよね。顔は、過食嘔吐により唾液腺も腫れるため、余計むくみが目立ちやすい箇所です。このむくみを解消する方法を見ていきましょう。
・カリウムと水分をとる
カリウムと水分なら、太る恐れはないので比較的取り組みやすいです。血行をよくするために大切です。
・栄養補給
特に摂りたいのは、たんぱく質、ビタミン、ミネラルです。塩分はむくみを助長するので控えましょう。
・過食嘔吐をやめる
唾液腺の腫れを抑えるには、過食嘔吐をやめる必要があります。そんな簡単に過食嘔吐を止められれば苦労はしませんよね…。
そこで、過食嘔吐の克服法について、次の章で見ていきましょう。
つらい過食嘔吐の治療と克服法とは?
ここからは、肝心な過食嘔吐の克服法を見ていきます。簡単ではありませんが、少なくとも次の3点は覚えておいてください。
・心のケア
まず大事なのは、自責の念をなくすことです。吐いてもいい、食べ過ぎてもいい。太ってもいい、痩せてもいい。あなたの全てをありのままに認めましょう。
・体のケア
最後のステップは、栄養補給です。バランスのよい食事を心がけましょう。日頃の運動も効果的です。
・専門医、カウンセラーに診療を受ける
心のケア、体のケア、どちらのケアも必要です。それができるのは心療内科の先生やカウンセラーさんです。専門の医療機関での外部の助けに頼ることを検討しましょう。
まとめ
今回は、過食嘔吐の原因と症状、克服法について解説してきました。まずは今の自分を受け入れて、今の状況が悪いことに気がつくことから始めることです。
辞めたくても辞められない、そんな場合は一人で悩むことはせずに、家族あるいは専門医療機関で診察を受けて、早めに治療を始めていきましょう。