顔汗は、夏はもちろん、寒い季節であっても暖房が効きすぎた部屋などでは汗が止まらなくて困るという方、案外多くいると思います。特に顔の汗は見た目も気になりますし、女性にとっては汗によるメイク崩れは是非とも避けたい事態です。
汗をかくこと自体は代謝の表れであり自然なことですが、あまりに大量の汗はやはり困りもの。今回は特に目立つ顔の汗について、その原因と対処法を探っていきます。
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大量に顔の汗をかく原因とは?
自律神経の乱れ
顔やわきの下、手のひらや足の裏などに大量の汗をかいてしまうことを限局性多汗症といいますが、なかでも顔の汗が止まらない状態は顔面多汗症と呼ばれています。
身体の他の部分はそうでもないのに、なぜか顔だけ汗っかき…その原因は自律神経の乱れかも知れません。
私たちの身体は交感神経と副交感神経という正反対の働きを持つ神経のバランスを保つことで健康を維持していますが、これが乱れると身体に様々な変調を来たします。顔面多汗症もそのひとつで、何らかの理由で活動・緊張・ストレスをつかさどる交感神経が過敏に反応している状態といえます。
ご自身の生活習慣や周辺環境に顔面多汗症の原因が潜んでいるかもしれません。ストレスや過労、睡眠不足など、思い当たることはありませんか?
運動不足
顔面多汗症の原因が運動不足と聞かされると、意外に思う方もいらっしゃるでしょう。
日常的に運動を心掛けている人、あるいは仕事でたくさん汗をかく人と、ほとんど運動をせず汗をかくことが少ない人とでは、身体中にある汗腺の機能に大きな差があるのです。
つまり、運動してよく汗をかく人の汗腺は上がった体温を下げるためによく働き、ほとんど運動をしない人の汗腺は体温を下げる必要がないためあまり働かなくなってしまいます。
ほとんど運動をしない人の汗腺も、日常生活でよく動かす顔や手足の部分はきちんと機能しています。ですから、急に運動をした時や緊張を感じた場合など、体温を下げる必要がある時に、その部分からどっと汗が溢れるようになるのです。
顔面多汗症の治療対処法
多汗症の原因は自律神経の乱れや運動不足だと考えられています。
心当たりがある方は、睡眠や運動、ストレスなど生活リズム全般の見直しが必要かもしれません。また、対処法としては以下のようなものがあげられます。ぜひ実践してみてください。
精神的に落ち着かせる
顔から大量の汗が出る…人と顔を合わせるのが億劫になりますよね。
汗でメイクが崩れてないだろうか、相手が変に思ってないだろうかと思うとつい緊張してしまい、ますます汗が止まらなくなる悪循環に陥る場合もあるでしょう。
こんな時、自分の顔の状態をチェックできるように手鏡を持ち歩いたり、汗を拭くためのタオルハンカチを数枚用意しておくと、精神的にも落ち着けるはずです。
冷やす
当たり前ですが、汗は上がった体温を下げようとして出るものです。つまり汗を止めるには、体温を下げればよいということになります。
顔面多汗症の場合、首の周囲の血管を冷やすのが特に効果的です。氷を首に当てたり、濡れたタオルを首に巻いたりすれば素早く体温が下がり、汗もおさまるでしょう。
半側発汗法
身体の一部を圧迫することによって、顔に汗をかきにくくする方法です。顔以外の部分で発汗はされているので、健康を害することはありません。
具体的には、両脇の下あたりを拳や腕組みでぎゅっと圧迫します。女性でしたらキツめの下着で締めて圧迫するのもいいでしょう。
舞妓さんの化粧は夏でも崩れることがありませんが、着物の帯で脇の下をぎゅっと締める事によって、顔に汗をかかないようにしているということです。
制汗剤
多汗症に効果のある制汗剤は市販されているものではテノール液、オドレミンなどが含まれているものです。
病院で処方されるものには塩化アルミニウム液などがあります。ご自分の肌に合ったものを使用しましょう。
ツボを押す
制汗に効くツボもあります。後谿(こけい)は手の小指の付け根部分で、手相の感情線の端あたりにあります。
陰げき(いんげき)は手のひらを上にした時の手首の小指側にあり、手首の付け根からひじ側に向かって1.5㎝ほどのところです。後谿も陰げきも親指でぎゅっと強めに数回押してみてください。
まとめ
顔面多汗症でお悩みの方に、比較的すぐに実践できる制汗法をいくつかご紹介してきました。ご自分に合った対処法をいくつか知っておくだけでも安心できると思います。
顔面多汗症は自律神経の乱れやストレス、運動不足が要因で起こるといわれています。顔に大量の汗をかくことで人目が気になったり、緊張や興奮しやすくなったりして、精神的症状をも伴う危険があります。長期にわたりお悩みの方は、専門医への相談も視野に入れるべきでしょう。
また、ここに紹介したような対処法を試みても一向に改善されないという方は、甲状腺ホルモン分泌異常であるバセドー病や、糖尿病、更年期障害などの疾患が原因となっているとも考えられます。この場合も早めの受診をおすすめします。