それほど暑さを感じているわけでもないのに、なぜか頭皮から異常な汗が止まらない…周囲の目も気になるし、こんなひどい症状は本当になんとかしたいものです。
緊張やストレスで大量に発汗することを「精神性発汗」といいます。テストの前やプレゼンの前、ドキドキして顔や手が汗で湿っぽくなる…そんな経験がある方も多くいらっしゃると思います。
とはいえ、頭皮からの度を越えた大量の発汗は日常生活でも困りもの。常に髪の毛が湿り気を帯びていて、臭いも気になるでしょう。夏は蒸れてとても清潔とは言えない状態に…。こんな汗、本当に何とか止めたいですよね。今回は頭皮の汗の原因を探り、症状を軽減する方法をご紹介します。
Contents
なぜ頭皮から汗が出るのか?その原因とは?
まずは頭皮から汗が出る原因をいくつかあげてみます。
体温調節機能と発汗機能の崩れ
私達の身体には無数の汗腺があり、そこから適度に汗をかくことで体温を調節し新陳代謝を行っています。
しかし、今や夏は涼しく冬は暖かく過ごせる時代。その快適さに身体が慣れてしまうと、暑ければ汗をかいて自然に体温を調節する機能が低下してしまうのです。つまり、全身の汗腺のバランスが失われ、本来あまり汗をかかない頭皮から大量の汗が出てしまうという事態に陥っている可能性があります。
体温調節機能の低下は本来の自然な発汗を妨げ、頭皮や顔、手など部分的に大量に汗が出るという症状を引き起こします。
代償性発汗
普段身体を動かすことが少なく、空調の効いた室内で過ごすことが多い生活を送っていると、ほとんど汗をかきません。すると、手足の汗腺はその機能を低下させ、休眠状態に陥ります。
運動不足でも首や顔、頭皮の汗腺は機能していますので、何かの拍子で体温を下げる必要が出てくると、その部分から大量の汗が噴き出すという現象が起こります。これが代償性発汗です。
更年期障害の一環
40代後半ごろの閉経位前後の女性に起こりやすいのがホットフラッシュと呼ばれる症状です。ホルモンバランスの崩れが原因といわれています。
女性は更年期が近付いてくると、エストロゲンというホルモンの分泌が急激に減少します。すると、イライラやうつなどの精神的症状や動悸、肩こりなどが起こりやすくなります。ホットフラッシュもそのひとつで、暑くもないのに頭皮や顔、首や胸の辺りなど上半身に多く発汗が見られる症状です。
重篤な病気による発汗
異常な発汗が続いている場合は、糖尿病やパーキンソン病、自律神経失調症、バセドー病(甲状腺疾患)、リウマチなどの重い病気に罹患している可能性もあります。
しかし、このような病気にかかっているのであれば発汗異常以外にも様々な病状が表れているはずです。また局所性多汗症である場合は少なく、ほとんどは全身性多汗症になるようです。
もし心当たりがあるなら早急に受診しましょう。
ひどい頭皮の汗を止める対処法
頭皮の汗の原因は代謝に関わるもの、精神的な影響、病気が原因となっているものなど様々です。そのため、「こうすれば汗が止まる」という決定打はいまのところ存在しません。
ですが、根本的解決には至らないものの対処療法的対処を試みたり、体質を改善することによって症状を軽くしたりすることはできるはず。ここではそういったいくつかの方法を
ご紹介しましょう。
漢方薬による治療
漢方薬は即効性はありませんが、持続して服用することにより徐々に体質を改善するという狙いがあります。多汗症に効くといわれる代表的なものは以下の3つですが、詳しくは専門家にご相談ください。
・防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)
体内の水分代謝を促進し、手足のむくみ、肥満、多汗症に効果があるといわれています。
・桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)
交感神経による発汗のバランスを整え、全身の発汗を抑える効果があります。虚弱体質改善にも。
・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
手や脇の下、頭や顔の熱を鎮めてくれる効果があります。精神的高揚を鎮静する効能もあり、心と身体の両面から調子を整えます。こちらも虚弱体質の人におすすめです。
汗を抑えるツボを押す
身体には無数のツボがあり、多汗症の症状を和らげてくれるツボも存在します。「合谷」(ごうこく)と呼ばれるツボです。
手の甲の親指と人差し指の間の、やや人差し指側にあたるこのツボは、多汗症だけでなく、女性特有の疾患や頭痛、生理痛、歯痛、鼻炎、便秘などにも効果があるといわれています。ツボを押す指は人差し指側にやや強めに押し付けてみてください。
もちろん少し試しただけで効果が実感できるものではありません。日々少しずつ押してみてくださいね。
汗腺の機能を取り戻す
前述したように、汗をかかない快適な温度の室内で過ごすことが多い生活を送っていると、使われない汗腺の機能が徐々に失われ、残された汗腺がフル回転する事態になってしまいます。
このことが原因で多汗症になっている人は、生活環境を見直す必要があるかもしれません。なるべくエアコンに頼らず季節を肌で感じる暮らしをする、毎日は無理でも週末にはウォーキングで心地よい汗をかく、エレベーターやエスカレーターではなく階段を使うよう心掛けるなど、できそうなことから始めてみてはいかがでしょうか?
そうして自然な全身からの発汗を促し、休眠状態の汗腺を呼び覚ますことができれば、発汗機能が徐々に整い、代償性発汗などの症状が抑えられるはずです。
そのうえで漢方の力を借りたり、ツボ押しを取り入れたりなどすると、より効果が発揮されると思います。
まとめ
頭皮から汗が出る原因と、取るべき対策についてご紹介してきました。ご自身が気になったり、傍目にもはっきりわかるほどの発汗はやはり対策が必要です。
多汗症は、重篤な病気などの場合を除き、生活習慣の見直しで改善できる可能性が大いにあります。また全身で汗をかくことは身体の代謝を促すことです。ご自身の健康のためにも、これを機会に多汗症改善に本気でチャレンジしてみませんか?