乳腺や乳管に出来た悪性腫瘍のことを、乳癌といいます。乳癌とは、女性の14人にひとりが罹患するという統計が出ていまして、女性にとって怖い病気のひとつであり、40代から急激に乳癌になる確率は高くなります。
仕事に家事や子育てに忙しい時期に、乳癌を患うのは精神的にも体力的にも辛いと言えるでしょう。では乳癌にならないためにはどういったことに気を付ければいいでしょうか?
ここでは乳癌になる原因はなにか、予防法はないのか、罹患した際の生存率について紹介します。
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乳癌になる原因
乳癌は、ホルモンの一種である「エストロゲン」の働きが原因です。癌は遺伝子が傷つくことにより発生します。その遺伝子が傷つくのは、細胞が増殖するときです。エストロゲンにより乳腺の細胞が増殖しますが、その増殖の際に遺伝子が傷つき、癌の発症となります。
初潮が早い、閉経が遅い
初潮が早かったり、閉経が遅かったりするのが原因のひとつです。月経はエストロゲンとプロゲステロンのホルモンの働きによって起こります。
昔と比較すると、栄養が十分取れる現在は女性の成長が早く、その分エストロゲンにさらされている期間が長くなるので、乳癌の原因となっています。
出産や授乳期間がない、初産年齢が遅い
現代の女性は高学歴化や社会進出に伴い、出産をしない女性も多く、また初産年齢が高くなっています。妊娠するとエストロゲンが減り、プロゲステロンが多くなります。また、授乳期間中もエストロゲンは作用しないのです。そのため、妊娠経験がない、授乳をしていないとエストロゲンに長期間さらされます。
また、エストロゲンの分泌は10~20代が最も多いとされています。ですからその時期に、妊娠・出産・授乳をするとエストロゲンの影響を抑えられます。初産が遅いということは、10~20代にエストロゲンの影響を大きく受けていると言えるでしょう。
肥満
乳癌の原因となるエストロゲンは、皮下脂肪が多いとたくさん分泌されます。それは、脂肪組織にエストロゲンを作りだす酵素があるからです。ですから、肥満は原因のひとつとなります。
ストレス
ストレスは、ホルモンバランスを大きく乱す原因として知られています。エストロゲンもストレスによって、過剰に分泌されていると考えられています。女性はとくにストレスでホルモンバランスを崩しやすいのです。
遺伝の影響
乳癌を発症された方の5~10%が「乳癌になりやすい体質」を、受け継いだと考えられています。また、癌を抑える遺伝子が変異した状態を受け継ぐ場合もあり、これは乳癌になるやすくハイリスクとなっています。
乳癌の予防法
運動
運動は肥満の予防や解消になります。脂肪は体内のエストロゲン濃度を上げます。ですから、脂肪を落とすことによりエストロゲンの濃度を下げ、影響を受けにくくしましょう。
また、癌はインスリンが癌細胞を増殖させることもわかっています。皮下脂肪が増えると、抗インスリン物質が増加し、インスリンが働きにくくなります。すると膵臓は、インスリンを大量に生産し、高インスリン状態となるため癌細胞が増殖しやすくなります。
他にも、ホルモンバランスを崩すストレスの発散にもなる効果が期待されます。
食事や食品の改善
乳癌の原因のひとつに、牛肉や乳製品の食べ物が関連あるとの報告があります。輸入(米国・豪州)の牛には、ホルモン剤が投与しており、そのホルモン剤が牛肉に残留しているのです。
また妊娠中の雌牛から搾乳される牛乳には、エストロゲンが大量に含まれており、乳製品を多く摂ると乳癌の原因になる可能性も指摘されています。
大豆や大豆の加工食品(納豆・味噌・豆腐等)を積極的に摂りましょう。大豆には、イソフラボンというエストロゲンに似た成分が含まれています。イソフラボンはエストロゲンと同様に働き、エストロゲンの作用を弱くしてくれる効果が期待できます。
他にも、魚の油には乳癌を予防するEPAやDHAが含まれています。そして野菜や果物を中心とした食生活も提案されています。
乳癌検診
現在、「40歳以上の女性に対し、2年に1度、視触診及びマンモグラフィ併用検診を行う」ことが厚生労働省の指針となっています。ですから検診を行っているが自治体がほとんどです。
費用の負担はその人の加入している保険等によってばらつきもありますが、検診を受診することをおすすめします。早期発見が何よりの乳癌を進行させない予防となります。
揉むと予防になる?
都市伝説にもなっている「揉むと予防になる」というのは、アメリカの大学の研究チームが悪性腫瘍に物理的圧力を加える実験をし、悪性細胞の増殖を防いだことから話題になりました。
しかし、揉むだけの圧力では予防できる効果はうすいようです。しこりを見つけるためには効果があるといえるでしょう。
乳がん 生存率
乳癌の生存率はステージにより大きく変わってきます。ステージI・II期では、5年後の生存率が90%以上です。また10年後の生存率も78%以上です。ステージⅢになると5年後の生存率は88%、10年後の生存率は60%まで落ち込みます。
ですから、早期発見と早期の治療の大切さがよくわかります。しかし、初期に治療を行っても、乳癌は転移しやすい特徴があり再発する可能性があります。再発する乳癌を「再発性乳癌」といいます。生存率を上げるためにも、術後の経過をしっかり観察することが大切です。
まとめ
このように乳癌とは予防もできる癌です。生活習慣から見直し、バランスの良い食事を心がけましょう。肥満を防ぐため、ストレスを回避するためにも、適度な運動は効果があります。週に10時間程度のウォーキング、好きなスポーツ楽しんだりジム通いをする、など趣味をみつけるとよいでしょう。
なにより大切なことは、早期発見です。触ってわからないしこりは、マンモグラフィーやエコーで見つけることができます。検診は怖がらずに受診することをおすすめします。