大人も子供も風邪をひきやすい季節は言うまでもなく寒い冬です。気温が低く空気が乾燥している冬場の環境を好むウイルスが活発になるので、毎冬学校や会社でインフルエンザなどが大流行するのです。
では、夏場はそうした伝染性の風邪は流行らないのかというと、そんなことはありません。夏風邪は高い気温と湿度の中で増殖するウイルスによってもたらされ、高熱や咳が長引くケースもあります。
抵抗力の弱い小さな子供がかかりやすい夏風邪ではありますが、大人も注意が必要です。ここでは夏風邪にかからないための治し方や予防法をご紹介します。
夏風邪の種類は主に3種類
ヘルパンギーナ
大多数が腸管内で増殖するエンテロウイルス属の、A群コクサッキーウイルスに感染して発症します。主な症状として突然の高熱、口の中の水ぶくれなどがあげられます。小さなお子さんが保育園や幼稚園などで感染し発症する場合が多いですが、子供から大人に移り、重症化するケースも稀ではありません。
参考：ヘルパンギーナに感染した時の症状と対処法！大人も子供もうつる？
手足口病
ヘルパンギーナと同じく、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスに感染して発症します。その名のとおり手のひらや足の裏、口の中に水泡が生じ、熱が出ることもあります。重症化する心配はあまりありませんが、稀に急性髄膜炎、急性脳炎を引き起こすことがあります。
参考：手足口病の感染原因！初期症状に治療法と子供大人もうつる予防対策法
プール熱（咽頭結膜炎）
アデノウイルスに感染して発症します。プールの水を媒介して発症することが多いのでこの病名が付きました。40度近い高熱が4～7日ほど続き、喉の痛みや腫れ、目の充血、腹痛や下痢などの症状が特徴です。
10才以下の子供に多い病気ですが、アデノウイルスは感染力が強く大人でも注意が必要です。
参考：咽頭結膜熱(プール熱)の咳や高熱の原因と症状！大人と子供の治療法
夏風邪の対処法
・安静第一
とにかく身体を休ませることが大切です。部屋の温度や湿度に配慮し、安静に過ごしましょう。熱や痛みで寝苦しくても、なるべく横になって休みましょう。
・水分補給を十分に
発熱による脱水を防ぐために、こまめに水分補給しましょう。経口補水液やスポーツドリンクは身体に素早く水分吸収させることができるのでおすすめです。
・対処療法で対応を
夏風邪にはインフルエンザに対するタミフルのような特効薬は存在しません。したがってその時々の症状に合わせて対処療法で様子を見ることが重要です。高熱で苦しいときは解熱剤を使用しましょう。喉が痛くて通常の食事ができない場合はプリンや軟らかく煮たうどんなどを食べるようにしましょう。
プール熱で結膜炎を併発したら、処方された目薬を使いましょう。
・感染を広げないために
罹患している本人や看病をする人はマスクを着用することが望ましいです。家族内に感染者がいる場合は、使用するタオルや食器は必ず区別しましょう。抵抗力の弱い幼児・乳児や高齢者はなるべく罹患者に近づかないようにしましょう。
小さなお子さんが罹患した場合、排便の処理を親がすることもあると思います。たとえ症状がおさまっていても、便には長らくウイルスが留まっていることが多いので、ビニール手袋を使用する、アルコール除菌を徹底するなどしましょう。
夏風邪にかからないための予防法
・手洗いやうがいの徹底を
ウイルスは人の手や咳・くしゃみの飛沫、便を介して人の体内に侵入します。感染予防には外出後の手洗いうがい、トイレの後、食事の前後の手洗いが効果的です。
・バランスの良い食事で体力を維持する
夏の暑さは食欲を奪い、同時に体力も奪います。ついのど越しの良い冷たいものばかり選んで食べてしまってはいませんか？
偏った食事は知らないうちに栄養不足に陥り、ウイルスに対する抵抗力も弱まります。栄養バランスを考えた食事をしっかり摂り、病気に負けない身体を維持しましょう。
・十分な睡眠を取る
人間は眠っている間に体力を回復し、免疫機能を高めます。睡眠不足は免疫機能低下を招き、当然病原菌に対する抵抗力も弱まります。夏場はただでさえ暑さで体力を消耗します。十分な睡眠で身体の免疫力を高めましょう。
まとめ
夏風邪の特徴と治療方法、予防法についてお伝えしてきました。かかってしまうと冬の風邪同様厄介なものであることがお分かりいただけたと思います。 加えて、夏風邪には特効薬やワクチンがなく、積極的に撃退する方法がありません。解熱剤を服用したりトローチや目薬などを使ったりする他は、しっかり身体を休ませるくらいしかできないのです。
子供が罹患しやすい夏風邪ですが、大人でも免疫が低下しているとかかってしまいます。十分な睡眠時間を確保する、バランスの良い食事をしっかり摂るなど、規則正しい生活を心掛けることで免疫力は自然にアップします。病原菌から身体を守るために、本格的な夏がやってくる前に生活習慣を見直されてはいかがでしょうか。